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攻略的な衣装つくりのポイントは?
中高ダンス部のコンクール、大会などがとっても盛り上がっています。 青春をダンスに捧げ、3年間を燃焼する姿をメディアで見かけることがとっても多くなりました。
パフォーマンスのテーマに合う衣裳も個性と表現力を求められます。 私が担当した衣装はグランプリ大会で最高得点をいただきました(わずか1点差ですが、すり抜けました) それは、単に衣装が、、、ということではなく、演出と合致し、構成に溶け込み、効果的にダンサーが表現したから、、、 につきます。
そんな衣装作家から見たダンス大会の【攻略的衣装つくり】を レポートしてみました。
【 ダンススタジアム 】大会観戦のレポート
メディアを大きくにぎわすダンスの大会といえば… やはりこのコンクールです。 通称ダンスタ(ダンススタジアム) 今年で12回目となりました。
【第12回 日本高校ダンス部選手権 夏の公式全国大会 2019年】
https://www.dancestadium.com/high/2019/zenkoku.html SNSでも大いににぎわい https://twitter.com/DANCE_STADIUM リアルタイムでWEB配信、
即日Youtubeにアップされます。⇓ 今年ビッグクラスの上位8組のダイジェストはこちら⇓
各メディアがニュースに、ワイドショーに、特別番組に・・・という白熱のぶりの大注目大会です。 全国、各地方で予選が行われ、 今年は 8月の決戦へ出場したのは約5分の1の 51校に絞られました。 主催は一般社団法人ストリートダンス協会
今年、大会に出場した 顧客様は 2年目で優勝!!を果たされました。
まさかのダークホースぶり、ダンスタ初の「異色のダンス部」の活躍には、びっくり! 私にとっても嬉しい年になりました。
さらに11月には 選抜大会 グランプリ決定戦がありました。 8月の優勝を受けて私も・・・
横浜アリーナへ、グランプリ決定戦を観に行きました。
感想は弊店衣装ブログにて掲載していますので よろしければ、 ご覧ください。【amebaブログ】
優勝と準優勝の上位2校 ⇓ のダイジェストこちら⇓
【グランプリ大会】競技の採点は 審査員7名の各10点ずつが、審査カテゴリーに加点され、総合得点で、 すべての出場校の順位が決められます。
審査項目は [技術] [表現] [構成] [衣裳] [音楽]の5項目 初代優勝は 愛知県の高等学校 創作ダンスでも強豪のダンス部です。 夏の大会とはガラっと演目の雰囲気を変えて、「勝つ」ための思策が感じられました。 脱高校生!!大人の雰囲気のある演目で ジャズダンスや創作ダンスのテイストで、技術が素晴らしく、見ごたえのあるパフォーマンスでした。
衣装つくりのポイントはどのにあるのか?
私が衣装作家ということもあって、生地の風合いや色、ドレープ、表現の方法などに特に目が行ってしまいます。 [衣裳]というカテゴリーが独立した審査項目になっている以上 これは真剣に考えなくてはいけないもの! となっていますが、 得点表をみてみると、5項目のうち1項目だけが、飛びぬけて高得点、、というのはあり得ないということが、わかりました。 総合的評価のなかでの得点差ということになっていました。
そうは言いつつも、「テーマに合わせた明確な表現を衣装に取り入れる。」というのが重要ではありそうです。 そこで、 気を付けるだけで、ポイントがアップしそうな点を3つ 私なりに考えてみました。
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舞台と照明に映える色
これは基本です。 審査員は客席の真ん中、結構後ろのほうです。 モニターもありますが、 わずか、2分半に見極める動体視力はさすがの審査員 さすがのプロですが、 それでも表現が最高に良く見えるような色選びが大切です。 舞台は暗めなので、アームは袖無しか、明るい色のものがパフォーマンスがよく見えます。 照明や舞台の色を効果的にとらえた衣装を考えるだけでも評価は変わるでしょう。
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効果を狙った素材選び
光が反射する、色が反転する、ドレープの流れができる、など、観客に「ワオ-」と思わせる仕組みや、効果を加える。 次々と、各チームがパフォーマンスを行う中、印象深く、インパクトを持たせることで代名詞になるような個性のある衣装は、審査員の記憶に残るのではないかと思います。「あの、○○の衣装の学校ね」と言ってもらえたら、効果があったということですよね。
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つながった感、スウィング感
私は衣装つくりでお金をもらっているので、マイナーであってもプロです。 しかし、舞台に上がれば、クオリティーが高いとか?低いとか?はあまり関係ないように思いました。 耐久性という意味では問題があるかもしれませんが、縫いが荒い、少々色があってない、縫いズレしているなどは、影響ないと思います。 その衣装に、演目テーマと衣装が一体につながって、個性と創造性があるかどうか!! ダンサーの魂が乗っかった衣装が揺れ動き、観客を巻き込めるかどうか!!
パフォーマンスと同じく、生みの苦しみがありますよね。 私も未だにモガキますが、 一緒に頑張りましょう!!
自分たちで作れる衣装つくりや、リーズナブルにテーマに合った衣装つくりの方法はあります。 また、その辺も おって、詳しく投稿しますね。
【衣装作家のダンス衣装のこだわり】制作過程~パターン構造
弊店で製作した、この大会の衣装は オールインワンになっています。 トップスとボトムスを一体にした一発装着の衣装です。 移動の多いダンサーの負担をできるだけ軽くしたいという思いからです。
衣装の構造は、
ボトム部が ショートパンツ+超ワイドなパンツ+スカートに、 トップ部は タンク型のベースにアシンメトリーなカッティングをし、赤い布をホールドしています。
パフォーマンスの中盤に赤い布が飛び出すように 演出やテーマに合わせてデザイン設計しました。
衣装を作る際の注意点は、
- 動きやすいストレッチを使用し、着脱と、搬送が楽!
- シルエットはシンプルかつ、美しく! (構造は複雑であってもデコレーションしすぎない)
- そして、着る人のモチベーションが上がり、心地よく踊れるだろうか? と考えます。
これは、衣装クリエイターとして、一貫しているこだわりです。
創造を膨らまして作ります。
衣装を創作する手順
(本ブログ内のリンクも掲載しておきます。)
- クライアントさんとのコンタクトをかさね、イメージを絵に描いていきます。デザイン画の描き方
- 1回目のサンプルは、「たたき台」ととらえます。 取りあえず、世の中にうみ出してみる。
- 2回目はパターンを再検討し、イメージを詰め込んでいく、意図するものができてくるイメージです。
- 3回目はラインを修正し、着丈などを修正していきます。 部分的修理などしながらほぼ形にします。
- サイズのグレーディングをしつつ、先上げサイズを1.2枚作り、試着してもらいます。
- 必要な生地、部品の見積りをし、資材を発注。 量産にかかります。
クライアントさんから、動画を送ってもらって 動きをチェックすることも とっても重要です。 気持ちの一体感、共有という意味でもモチベーションがグンッと上がります。

